「ケータイ国盗り合戦 2008年夏の陣」
……第4回日本イベント大賞部門賞企業イベント部門受賞
*このエピソードは、事実を基に多少の脚色を加えています。
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その“日本”は600の国に分かれている。その場所に行って、ケータイという道具でボタンを押すと、その領土が手に入る。アバターと呼ばれるケータイの持ち主の分身は、あちこちに出かけていっては領土を増やし、難問を解決した報酬としてコバンを得ては兜や鎧を集めていく……。もちろん、バーチャルリアリティ・仮想現実と呼ばれる通信回線上のゲームである。
しかし、仮想でないことが1つある。それは、実際に携帯電話の持ち主が、日本の同じその場所に“行く”ことが必要だということだ。
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◆強みの連携
このゲームを仕掛けたのは、Mapionなどを持つ位置情報に強い株式会社サイバーマップ・ジャパンと、プロモーションに強くJR東日本という親会社をもつ株式会社ジェイアール東日本企画である。この双方の強みを活かそうと、本格的なコラボレーションが始まったのは2004年のことだった。
登録者は、携帯電話でGPSや基地局を利用して、自分のいる場所の情報をサイトに送る。この分野がサイバーマップ・ジャパンの強みである。
「○月×日までに、次の神社仏閣で天狗様の修行を受けよう」というイベントが開催されれば、登録者はその神社仏閣を実際に訪れる。「〜○月×日までに、全国の城を攻め落とせ」とあれば、また、その街を訪ね、城の側まで出かけて行く。こうしたイベントを次々と展開するのは、株式会社ジェイアール東日本企画の強みである。
登録は無料だし、上のようなイベントに挑戦すれば賞品ももらえる。では、どんな利益があるのだろうか?
「移動にはいろいろな方法がありますが、JRを使った移動も多いでしょう。目的地がどこにあるのかMapionで情報収集し、そこに行く方法をトラベルナビゲータで検索するでしょう。こうしたコンテンツ(インターネット上の情報サービス)の利用料もあります。しかし、このゲームを通して、外出の意識を高めていただき、旅行の楽しさを知っていただけるとうれしい。」と、関係者は言う。
◆ゲームの概要
ゲームへの参加方法は簡単だ。携帯電話のiモードやEZWebでそのサイトを訪ね、ハンドルネーム(バーチャル上の名前)・生年月日・性別を登録し、いくつかの手続きを経ればいい。ネットの中に、その名前をもった、アバターと呼ばれるあなたの分身が現れる。
そして、例えば出張で熊本に行ったら、そこで携帯電話上の「国盗りボタン」を押す。それであなたは、その領土を手に入れる。登録者に圧倒的に社会人の男性が多いのは、出張先でポチっと……とできるからだろうか。
さらに、その周辺の歴史クイズやショッピング情報も入手でき、歴史好き・旅行好きのツボをついてくる。
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◆リアルワールドでのつながり
「ケータイ国盗り合戦」は、ネット上だけのゲームではない。JRのオープンスペースを利用して、リアルイベントも行われる。2008年夏は、山手線の駅構内を利用して「山手の合戦コース」が行われた。
各駅に基地を作り、携帯電話でアクセスする機械(※―1参照)が設置された。
東京駅で、この機械に携帯電話をタッチしてから始まる。携帯電話にはそれまでの情報が蓄積されているので、タッチした人の情報に合わせて、メッセージが異なる。そして、【秋葉原に敵の本陣を発見! 秋葉原に向かえ!】などの指令にしたがって、参加者は山手線をあちこち移動する。RPGのリアルタイプといったところだろうか?
敵陣の基地の横には、“くノ一”の衣装でアテンダントが待っている。当日、そのイベントの様子をみて興味を持ち、参加登録をしていく通行人もいるという。
当日の参加者は4000人を超えた。遠方から何時間も掛けてくる参加者も少なくない。
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◆SNSやクチコミでの広がり
参加者は右肩上がりで、日本イベント大賞部門賞受賞の頃には、軽く10万人を突破していた。
「参加者募集のプロモーションは、ほとんど行っていない」と言う。
ミクシィなどのSNSを通じた口コミ情報は、このイベントの別の面を支えている。リアルイベントを知らせ合うことはもちろん、離島に渡らなくてもある海岸のポイントでボタンを押せば国が盗れる、というような裏技情報も流れる。
北海道から沖縄、そして諸島も含め、その領土は600箇所。毎週末出かけても10年はかかる計算だ。にもかかわらず、なんと完全制覇(実際に全国を訪れたということ)をした人は54名もいた。その名前(もちろんハンドルネーム)はネット上で誰でも見ることができる。
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完全制覇をした証拠は携帯電話にしか残らない。「でも何か形に残したい」……。そんな参加者の声を受けて、ホテルでの表彰式が行われた。賞品はデジタルカメラなど、旅行に関わるものが多いという。
◆ネーミング“ケータイ国盗り合戦 夏の陣”
ネーミングを考える際には、いろいろと調べたという。「国盗り」というと、司馬遼太郎の歴史小説『国盗り物語』(くにとりものがたり)が有名だ。それに差し障りはないだろうか? ケータイは登録商標されていないだろうか? 関係者はいろいろ調べ、“ケータイ国盗り合戦”で決定、出願を行い、商標権を取得した。 また“ケータイ国盗り合戦”が他のコンテンツと類似していないかを調査した。
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このゲームは、実は2001年から始められた位置情報サービスのプラスアルファのサービスとして、「スタンプラリー」を前身としている。2005年までは、『お宝☆探検隊』という名前であった。そして、今の『ケータイ国盗り合戦』と進化してきたのだ。
そして、「夏の陣」と命名し、プレミア感を出したという。さらに、それまで300国だったものを600国にし、神社仏閣、城など、国だけではなくスポットの攻略するイベントなどを展開し、2008年から急速に参加者数が伸びてきた。
“ケータイ国盗り合戦”は、常に進化し続けている。そして、これからも進化していく。
■写真提供:株式会社ジェイアール東日本企画
■イラスト提供:株式会社サイバーマップ・ジャパン http://kntr.jp/pc/
■「iモード」は株式会社NTTドコモの登録商標です。
■「EZWeb」はKDDI株式会社の登録商標です。






