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●JACE視察研修として実施
3月8日(木)JACE視察研修として「日本橋観光まちナビ」の体験ツアーが会員各社から多数の出席者を迎え開催された。
国土交通省による公募事業として平成18年度から行われている「まちづくりナビプロジェクト(まちナビ)」は全国25箇所で実施され、東京都で唯一採択されたのがこの「日本橋観光まちナビ実証実験」である。
●「日本橋観光まちナビ実証実験」とは
「日本橋観光まちナビ実証実験」は1月15日から約2ヶ月の日程で行われた。
サポートしたのは主に、老舗、名店、ホテル、などといった地元日本橋の企業である。
実験機は「山本海苔店」「榮太樓總本舗」「日本橋高島屋」「ロイヤルパークホテル」の4ヶ所に設置され、希望者に貸し出された。貸し出しを受けた人が実際に使用してみた感想をアンケートに答える、という形でフィードバックすることでこの実証実験は行われた。
業務を担当したのは「日本橋観光まちナビ実証実験協議会」、事務局を担当したのが「NPO法人東京中央ネット」で、中央区のインターネット局として独自のサイト「東京中央ネット」を運営し、地域活性化を目的に中央区に住んでいる人、働いている人、そして訪れる人のために情報提供を中心とした様々なコミュニケーション活動を行っている。
(※東京中央ネット・日本橋観光まちナビの案内ページ http://www.tokyochuo.net/m_navi/ )
事業全体を計画・推進した「東京中央ネット」にはJACEの三輪祐児が協力し、またアンケート調査・分析はJACEと(株)日本総研が担当した。
ベースになったのは「東京中央ネット」が数年前から制作し主に印刷物とウェブサイトで配布していた「日本橋都市観光マップ」である。このマップを元にして観光ポイントを呼び出すという仕組みを作り上げ、そこに動画をからめたのが主な特徴である。
ゲーム機を使った理由としては、子供から大人、年配の人、また外国人にも幅広く使用できる操作性の良さ、携帯型の中では動画再生の機能が優れている、ゲーム感覚で楽しみながら操作できるなど。
また、肝心の搭載ソフトにおける基本映像に関しては、日本橋地域が過去に蓄積してきた情報コンテンツや動画などのデータを二次利用したものである。
新規に映像コンテンツを制作するとなるとコスト負担も大きいが、すでにある素材を再編集することで地域の情報資源の有効活用を実現したのであるが、このビジネスモデルは意義深い。それは地域観光の振興、集客事業の活性化という目的を達成しようとするうえでコストの抑制ということが大きな課題だからである。
●「日本橋観光まちナビ」の使い方
「日本橋観光まちナビ」の使い方はDSが複雑な操作を必要とせず、タッチペンによる簡単な操作で誰にでも扱い易い仕組みなので便利である。
観光データは「名所旧跡」「祭り」「伝統工芸」「店舗宿泊」の四つのカテゴリーからなり、その総数は41項目、全く同じ内容で日本語版と英語版が用意されている。
まず、タッチペンでメニュー画面を呼び出して、地図画面を開くと解説映像のあるポイントには数字が地図上に表示されているのでその数字をタッチペンで軽く触れると映像と音声による解説が始まる。また、地図の拡大縮小や位置の移動などは、画面にタッチペンの先を押し当てたままなぞるように動かすだけで自在に操ることができる。
自分のいる位置を画面の地図で確認しながら知りたい情報が瞬時に呼び出せるので、観光ポイントが見つからずに迷うという心配はない。
また、もう一つの使い方に、「祭り」のカテゴリーを選ぶと日本橋の主な祭りの記録映像を見ることができて興味深い。お祭り当日でないと見ることができないお祭りの熱気を映像によって見て感じることができるのは、限られた日数で訪れる観光客にとっては得がたい便利機能と言えるだろう。
●実際にまちに出て使ってみる
さて、当日は日本橋三井タワーのロビーに集合し、事務局の三輪祐児(元JACE職員・現在は株式会社乃村工藝社)による操作方法の簡単な説明が行われた後、研修参加者全員で日本橋界隈を歩きながらまちナビ実証実験の実践を行った。
日本橋三越本店の角を曲がって、日本銀行のほうへ歩いて行くと当日は天気がよかったせいか液晶画面に日が当たり反射して映像がよく見えない。
画面の上に手をかざして影を作らないと映像が見えにくいのであるが、これは液晶ディスプレイの現状の性能では仕方のないことであろう。
ディスプレイ上に表示された日本橋界隈の地図上にある観光スポットから「日本銀行貨幣博物館」を付属のタッチペンで軽くタッチすると観光案内の映像が始まった。
あいにく博物館の内部を見学する余裕はなかったが、このガイド映像のおかげで中の様子や歴史的な知識を得ることができた。
音声による説明はとても便利であるが、こうした屋外では車やバイクの騒音や街中の雑踏にかき消されてよく聞き取れないこともあるのが少し残念であった。
最後は日本橋高島屋の好意により4階特別食堂を提供していただいてケーキとコーヒーで一服。三輪からは開発に当たっての考え方や実証実験の経過について報告をした。
●実証実験の結果と今後の課題
アンケートの結果は肯定的なものが圧倒的に多かったが、一部では否定的な意見もあった。
それは例えば、「携帯」できるというメリットも、ちょうどいい重さと大きさと思う人がいれば、人によっては重い、持ち辛い、買い物の邪魔、と感じる人もいる。
「操作性」についてもわかり易い、誰にでも簡単、と多くは肯定的意見が多数を占めたが、一方で文字が小さい、音量が不足しているなど否定的な意見もあった。
「ソフトの内容」も店の中、営業時間、電話、住所、商品といったさらに詳細な情報を求める声があったが、これは否定的な意見というよりも、より充実したコンテンツへの期待の高さを物語っているといえよう。
また、ナビと名乗る以上GPS機能を搭載して文字通り行き先までのナビゲーションをしてほしいという声や、リアルタイム情報のダウンロードなど通信機能を求める声もあった。
とはいえ新しい観光振興のツール開発の試みという本来の目的は達成できたといえるし、またこのユニークな実証実験が示した様々な提案はさらに優れたツールの実現へと向かうベースとなるに違いない。
また、この方式で画面に飲食店や店舗の広告、商品案内などを掲載すれば、今その場所にいて食事をしたり土産物を探したいと思っている観光客に、その場で情報を送ることができるわけである。三輪からは「ピンポイント広告」という概念でその考え方が述べられた。
この試みは、国交省の提唱する「ビジット・ジャパン・キャンペーン」への貢献も大いに期待されるところである。ゲーム機と観光ガイドが一体化したこのツールは日本人のみならず、日本を訪れた外国人の人たちに強くアピールするはずである。
江戸時代の日本の幹線道路である東海道の起点としての「日本橋」が、同時に名所旧跡としてのブランド「日本橋」をスタート地点として、日本全国へとそのコンテンツを延長、拡大していき全国版デジタル観光ガイドマップが完成される日もそう遠くはないのである。