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【第12話】ステージ研究(4) ステージが持つ機能

栗原 毅

電通MS事業局スペースブランディング室プロジェクトディレクター
マーケティング局、メディア開発局を経て1989年~1994年電通ドイツ出向。商業放送衛星計画作成に参加。
1998年~2001年ハノーバー万博MSOGmbH出向。同万博事業計画作成に参加。
2001年イベントスペース開発局。来場者の心理変化を指標としたイベント効果測定手法の開発に参加、現在も同作業を継続中。

共著「デジタル集客術」同友館 「イベント学のすすめ」ぎょうせい

【 展示会の最新事情 】


これまで3回ほどステージについて考えてきましたが、今回はまとめのようなかたちで、ステージが持つコミュニケーション上の機能について申し上げたいと思います。

 私はステージの機能は、誘引・伝達・共感・導入の4種類にまとめられると考えています;

  1. 誘引

     来場者のほとんどは、「あなたのブースを目指して」来ているわけではありません。数ある類似ブースの中から選んでもらい、足を止めてもらうには、やはり「目立つ」ことが肝心です。来場者の目を惹くためには、にぎやかなステージは有効な武器でしょう。あでやかなコンパニオンの姿と共に「お出迎え」する姿勢を示す - 調査データもこの推論を支えています。


  2. 伝達
     出展社が伝えたいメッセージをコンパクトにまとめて伝えるのは、出展目的の中心です。これに沿って、ステージが企画され、さまざまな視聴覚手段を使って情報を伝達することが現在の主流でしょう。
     しかし、前回述べたように、効果的な伝達を重んじるあまり、ステージから肝心のライブ性が失われ、テレビのようになってしまう傾向が見えるのです。伝達情報が山盛りになるため、長さも長尺になる傾向にあります。ステージの伝達機能が先走っているような気がしてなりません。


  3. 共感形成
     伝達機能は「正しく伝える」ものですが、ステージにはさらに情報を「楽しく伝える」工夫がなければなりません。来場者が心地よく情報を得、企業に対して好印象を抱いて帰るための知恵です。
     それはステージの長さや面白おかしさだけではありません。観客がステージを訪れて感じるいろいろな印象です:混み具合や座席の有無、ステージ頻度なども来場者の共感形成に影響する点です。いつ始まるか分からなかったり、混みすぎて見物できなかったりすると、とても「共感」を持って帰ることはできないものでしょう。


  4. 誘導
     これはステージ見学後の来場者を他の展示へ誘う機能です。ステージはブース全体のハブのようなもの。ステージの力で足を止めてもらった来場者をブースに留め、他の展示を訪れてもらうために、ステージの位置や動線設計に知恵をしぼります。
     ステージ観察調査を続けていて感じるのは、この誘導という機能がやや軽んじられているのではないかということです。ステージで「思いのたけを伝えきる」のは良いのですが、それではテレビと変らぬ一方通行です。メディアとしての展示会の財産はモノにさわり・人と話すことにあります。ステージにも「モノにさわりたくなり、人と話したくなる」ような工夫がもっと施されてもいいと思うのです。
     最近行われた展示会で、これを実践してくれた事例に出会いました。そのステージは思い切って短く、「これを使うことであなたの世界はこのように変わるでしょう」という使用効能を謳うだけのものでした。商品機能の紹介はほとんどありません。作る立場でなく、使う立場からの、見事な好奇心励起型プレゼンテーションでした。

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 誘引・伝達・共感・誘導。この4機能のうち、誘引と伝達はよく考えられていますが、共感形成と誘導にはまだまだ工夫の余地があるように思うのです。
 ステージは大きな費用と手間をかけて作られるものです。「空振り」させるのはもったいない。ブース出展の目的や他展示要素との関わり合いなどを考慮して、企画の早い段階で合意形成しておきたいものです。