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栗原 毅
電通MS事業局スペースブランディング室プロジェクトディレクター
マーケティング局、メディア開発局を経て1989年~1994年電通ドイツ出向。商業放送衛星計画作成に参加。
1998年~2001年ハノーバー万博MSOGmbH出向。同万博事業計画作成に参加。
2001年イベントスペース開発局。来場者の心理変化を指標としたイベント効果測定手法の開発に参加、現在も同作業を継続中。
共著「デジタル集客術」同友館 「イベント学のすすめ」ぎょうせい
私たちはこれまで約200ほどの展示会ブースについて意匠と態度変化の関係を調べてきました。
調査項目のひとつに「ブース来訪目的の達成度」というものがあります。ブースを訪れた全体的な感想として、来場した目的が達成できたかどうかをたずねます。
展示会に行く目的は、一人のヒトの中でもいろいろあるはずで、「達成度」などというおおまかな評価軸でひとくちにたずねてしまうのは相当乱暴なやりかたなのですが、反面では、来場者は一つ一つのブースに対して「私はこれこれの目的を持ってここに来ておるのだ」などという明白な目的意識を持ってはいないこともはっきりしてきました。アバウトな意識の来場者にはアバウトな質問がふさわしいのかもしれません。
BtoB対BtoC 評価の厳しさの違い?
この項目については、IT展示会での平均はおよそ65%が「目的達成」または「まあ達成された」と回答してくれています。どの展示会も毎年さほど変化ありません。ブースごとに細かく調べても、よほどセンセーショナルな新商品が出た数例を除き、どのブースもおおむね65%です。ということは、この65%という数字を展示会の成否を判定する基準のひとつとして考えても良いような気がします。
もっとも、展示会のジャンルによって若干の差はあります。BtoBの性格が強い展示会のほうが一般消費者向けのものより来場者の眼は厳しく、3~6%ほど低くなっています。
モーターショーではIT展示会よりもブースごとのぶれが大きく、平均をとってもあまり意味がないのですが、およそ70%程度です。モーターショーは日本ではほぼ完全にBtoC展示会ですから、BtoB展示会への評価より評価の視線が若干ゆるいということは、前記の傾向と平仄が合います。
消費者の目線は厳しい、とはよく言われることですが、展示会の来場者に関する限り、BtoCよりBtoBのほうが厳しい。やはり仕事で訪れてきているという気持ちが展示への視線をシビアにしているのでしょうか。
目的達成と滞在時間の相関関係
目的達成度に影響を与えている展示要素は何かを調べてみました。主な調査項目と目的達成度の間の相関関係を計算したのです。するとふたつ、目的達成との間に相関のある項目が発見されました。
ひとつは商品やサービスへの評価です。展示物への評価が高いと目的達成度もあがる - これはまあ、当然です。いいモノが展示されていれば来訪目的にかなうというのは、当たり前のこと。
もうひとつはブース内の滞在時間でした。目的達成度が高いほど滞在時間も長くなるのです。
これも当たり前といってしまえば当たり前。目的が達成できた、というヒトは多分ブースの中でいろいろ多彩な行動をとっているでしょうから、滞在時間が長くなるのはうなずけます。
注目したいのは、ここで、滞在時間という「行動」と、達成度という「ココロの変化」がつながったということです。
これまでも滞在時間調査は行われてきましたが、心理変化との因果関係が判明せず、「いくらお客さんが長い間いてくれても、ただだらだらとブースの中を歩いているだけでは仕方ないだろう」などという批判には答えられませんでした。
私たちの調査で「ブースには長くいてくれるほうが良い」ということだけはかなりはっきりしたと思います
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平均目的達成度65%。最も評価が低かったブースは50%台。最高点は80%程度。なにごとによらず、私たちが日頃ものごとへの判断を下す際のココロの基準を示しているようで興味深い数字です。