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● はじめに
今、イベントを取り巻く環境は大きく変化している。その変化は、二つの軸から捉えることができる。一つは、メディアの地殻変動であり、もう一つは、地域経済の構造変化である。この二つの軸は、イベントの今後を占う上で不可欠なものである。イベントは、元々マスメディアが発達する以前、多くの人々にメッセージを直接伝える最強の手段であり、地域社会に密着したメディアとして高い評価を受けていた。しかし、マスメディアの急速な発展により、人々が直接集うこと無しに情報が手に入り、感動的シーンも見ることができるようになると状況は一変した。いつしかイベントの情報伝達機能、メディアとしての機能が相対的に著しく低下していった。特にテレビが登場し、広告費が新聞を上回った1975年以降は、圧倒的なテレビの訴求力の前でマスメディアと結びつかない単独イベントは、企業内の広告戦略、マーケティング戦略の中での位置づけが定まらないまま推移していった。ところが近年、メディアの多様化、経験価値への見直し、インターネットの普及によるインタラクティブ性の高まり等により、マーケティングの世界でイベントが再評価される土壌が生まれつつある。コンタクトポイント、タッチポイントあるいはライブマーケティングといった新たな概念、潮流にイベントは、押し上げられてきたように思える。本稿は、メディアの劇的変化の中で、イベントが新たな装いをもって地域社会のエンジン役としての姿を見せることが可能なのか推論していきたいと思う。
一、 イベントをとり巻くメディア環境の変化
① インターネットの普及
『インターネット白書2006』(日本インターネット協会)によれば、国内のインターネット人口は、06年2月時点で、7,361万9千人に達している。インターネットの世帯浸透率(利用場所、接続機器を問わずインターネット利用者がいる世帯の比率)は、すでに85.4%となっている。さらに、ストレスなく動画像が見られるブロードバンド通信の世帯普及率もまた、すでに4割(41.4%)を超えている。
5年前の『インターネット白書2001』によれば、インターネット人口は、01年2月末時点で3,263万6千人であった。この5年間でなんと約4千万人も増えたことになる。インターネット利用者の増加は、まさに爆発的であった。21世紀のメディア環境は、インターネット無くしては語れなくなっており、イベントは、その恩恵をフルに活用することで新たな価値を創造できるチャンスが巡ってきたといえる。
② ナビ化する社会(インターネットの検索行動)
職場でも、学校でも、そして家庭でも近頃は、何か調べものをするときには、辞書や電話で問い合わせる前に、インターネットでキーワード検索を行うことが多くなってきた。その方が、早い。初めて訪れる場所の確認には、「地図検索」は実に重宝する。このような行動パターンは、当然の如くイベントを調べたり、出かけたり、待ち合わせたりする時にも同様に行われている。
ビデオリサーチインタラクティブの『WebPAC』(毎年11月調査実施)のアンケートによれば、「インターネットで検索する目的」のトップは、「個人的な興味、娯楽の情報収集のため」(87.7%)であり、次に「仕事や研究、勉強の情報収集のため」(51.8%)、3番目に「商品を購入、検索するため」(45.0%)が続く。順位は前年と変わらないもののトップと第3位の項目が、前年を10ポイント程度上回り、逆に第2位の「仕事や研究、勉強の情報収集のため」は8ポイント近く前年を下回っている。
同社の「インターネット検索行動の実態」報告書(06年7月24日)によれば、自宅での検索行動者一人当たりの月間平均視聴ページ数は、35歳を境に大きな断層があることがわかった。男性の場合は、34歳までと35歳との間で30頁程度の開きがある。20~34歳の層は、126.2頁視聴しているのだが、35歳以上の層になると90頁を割り込んでいる。女性も、ほぼ同様の傾向を示している。
③ 全国民のメディアの接触状況
05年時点で普通の人達がどのくらいの時間メディアに接触しているのだろうか。NHK放送文化研究所の国民生活時間調査報告書によれば、平日の場合、国民全体、全世代の平均でテレビは、3時間27分、ラジオは23分、新聞は、21分、雑誌・マンガ・本は、13分。そして、インターネットも、同じく13分である。ところが、次世代の日本を担う20代の男性はというと、テレビは2時間11分、ラジオは18分、新聞は、なんと8分、雑誌・マンガ・本は18分。そしてインターネットは、29分という結果であった。20代の女性も似たような傾向であり、テレビは2時間40分、ラジオは、8分、新聞にいたっては、全世代平均の5分の1以下で4分、雑誌・マンガ・本は15分、インターネットは、16分であった。若い世代の新聞離れが、急速に進んでいる一方、インターネットの視聴時間は、すでにラジオ、新聞を上回っている。
④ イベントの認知経路
では、イベント情報は、どのようにして人々に伝わっているのだろうか。日本イベント産業振興協会では、『イベントの参加実態と参加意識に関する調査』(05年3月、インターネットによる全国調査。調査対象は18歳以上~60代以上も含む一般男女、各1,000サンプル、計2,000サンプル。最近1年間で、何らかのイベントに参加した人)を実施し、その結果を調査研究報告書としてまとめた。まず最初に、イベントの認知経路について紹介しよう。
参加イベント件数全4,400百件のうち、約3割に当たるイベントが、「以前に行ったことがある」(29.0%)から、今回も参加ということで最も多かった。次に多かったのは、「友人・知人」(28.2%)の紹介という、いわゆるクチコミ。2番目に「テレビ」(27.8%)、4番目に「地元の広報紙」(27.3%)、5番目に「新聞」(25.9%)という結果であった。全国レベルでみた場合に、「地元の広報紙」の存在が大きいことがわかる。六番目に「インターネット」(19.5%)が、入っており、雑誌(12.8%)やラジオ(8.3%)といったマスメディアを上回っている。
当該調査は、インターネットによる調査であることから多少割り引いて読む必要はあるが、インターネット利用者自体が7,000万人を超える時代状況を鑑みれば、認知媒体としてのインターネットのインパクトの強さは無視できないものになっている。
一口にイベントといっても、その範囲は大変広い。イベントの認知経路をカテゴリー別にみると、かなり異なる。詳細は、図表1のとおりだが、各イベントの認知経路の特徴を挙げると、「博覧会」の場合は、「テレビで知った」という人の比率が圧倒的に高く7割、その他のメディアも全体平均に比較して軒並み10ポイント以上高く、様々な情報源から認知している様子が伺える。「フェスティバル」は、約6割が県内来場者であるせいか、「以前に行ったことがある」「地元の広報紙」と回答した割合が全体に比較して10ポイント以上高く、逆に「インターネット」で知った人は、全体平均よりも低く15.4%であった。「見本市・展示会」、「会議イベント」では、「仕事関係で知った」と回答した割合が全体に比較して十ポイント以上高かった。両者とも「インターネットで知った」割合も高く、「見本市・展示会」は24.9%、「会議イベント」は26.6%でいずれも全体平均を5ポイント弱上回っている。「文化イベント」「スポーツイベント」「販促イベント」でも、「インターネット」による認知が、すでに2割程度あることは注目すべきことである。
この調査の結果は、メディアとしてのインターネットの特徴がよく表れた。他のメディアは、イベントのカテゴリーごとに認知率に、ばらつきがあり、また大きな差があったが、インターネットは、各カテゴリーすべてにわたって平均した認知率を得ており、落差は小さい。例えば、インターネットの場合は、最大値が博覧会の38.6%、最小値がフェスティバルの15.4%で、他は25%前後である。ここに、自らの興味や関心で能動的に受発信できるインターネットと、興味の有無にかかわらずスポンサーに左右されるONE WEYのマスメディアとの大きな違いが明確に見られた。
イベントは、一般的に告知予算が乏しい。内容的には、魅力的なイベントも知られざるイベントになってしまうケースが少なくない。「マスメディアを使いたくても、広告予算や広報予算が足りない」、これが前世紀までのイベント主催者の大方の悩みの種でもあった。インターネットが普及してきた現在、イベント情報は、コストをあまりかけずに受発信できる環境が整った。インターネットを活用すれば、人々の興味や関心のおもむくようイベントのタイトルをうまく工夫することで、一瞬にして全国にその情報が流れていく。イベントにとってインターネットは魔法の杖、水先案内人として、画期的な意味合いを持つようになったのである。

※注) 全体に比較して、○印は、10ポイント以上高く、▽印は、10ポイント以上低い
では、年代別のイベント情報の認知経路を見るとどうなのか。各世代の特徴が非常によく表れている。認知経路の高い順に、図表2にベスト3を挙げてみた。男性の場合、20代中心(18歳~29歳)の場合は、3位に「インターネット」が、40代と50代は、1位に「以前行ったことがある」、2位に「新聞」、60代以上となると1位、2位に、「新聞」「地元広報紙」が入り、活字メディアが主要認知経路となる。30代は、前後の世代の中間的な順位で、1位は20代中心と同じ「知人・友人」となり、2位は、40代、50代と同じ「以前行ったことがある」という結果で、3位に「テレビ」がきている。女性の場合は、60代以上を除き各世代とも「以前行ったことがあるが1位、2位を占めた。また全世代共通して「友人・知人」と「地元・広報紙」が入り、一言で言うと「地元コミュニィティ型」の認知経路が主だった。
単位:% |
| 全体 | 1位 | 2位 | 3位 | |
| 男性 | 20代中心 | 友人・知人 32.6 |
テレビ 32.3 |
インターネット 27.6 |
| 30代 | 友人・知人 30.6 |
以前行ったことがある 27.6 |
テレビ 26.6 |
|
| 40代 | 以前行ったことがある 30.0 |
新聞 26.9 |
地元広報紙 26.4 |
|
| 50代 | 以前行ったことがある 32.7 |
新聞 29.4 |
テレビ 26.5 |
|
| 60代以上 | 新聞 38.3 |
地元広報紙 32.4 |
テレビ 31.6 |
|
| 女性 | 20代中心 | 友人・知人 38.3 |
以前行ったことがある 28.8 |
地元広報紙 26.2 |
| 30代 | 友人・知人 28.9 |
以前行ったことがある 27.8 |
地元広報紙 27.5 |
|
| 40代 | 以前行ったことがある 31.0 |
地元広報紙 29.7 |
テレビ 27.8 |
|
| 50代 | 以前行ったことがある 31.2 |
友人・知人 29.1 |
地元広報紙・テレビ 27.5 |
|
| 60代以上 | 地元広報紙 33.8 |
友人・知人 31.1 |
新聞 27.3 |
二、 イベントに対する意識の変化
当該調査によれば、人々のイベントに対する意識の変化は、以下のとおりであった。
① 地域振興等とイベントの効果・効用
全国のイベント参加者に対して、「イベントに対する考え方」を20項目聞いたところ、「イベントは地域振興を推進していく上で重要な要素だと思う」という回答が75.0%を占め、トップに挙げられた。97年にも同様の項目の調査を実施したが、この時は7番目だった。7位から1位に上昇している。当時の調査は、首都圏を対象とし、調査手法も今回とは異なるため、厳密には比較対照するには無理があるが、同一項目での比較対照できる調査は、これだけであるため参考比較としたい。いずれにせよ、イベントが地域振興に果たす役割に対して、期待が高いという結果が出ている。その背景としては、いくつかの要因が考えられるが、工場の移転や人口減等に伴う地方経済の衰退に歯止めをかけたいという思いがあるようだ。それを裏付けるかのように、7年前より上位にランクされたものとしては、「イベントは規模が大きくなれば経済効果が期待できるもの」(63.5%)という項目が浮上している。7年前には8位だったが05年には4位である。その他、上位にランクインした項目として「日本を国際的に理解してもらうために欠かせない」(49.6%)は7年前16位だったが、今回は10位に浮上している。イベントの持つ経済波及効果、イベントが国際社会に及ぼし得る力に対する評価や期待が7~8年前より全国的に上昇しているようだ。国策としてのビジット・ジャパンキャンペーンや平成の市町村大合併、あるいは経済産業省の推進する集客交流事業等の施策が全国的に影響している面もあろう。
② イベントは女性がイニシアチブ
今回の調査を通じて、女性は男性に比べイベントに対する考え方が全般に前向きの傾向が見られた。20項目中14項目、女性の方が「そう思う+ややそう思う」が高かった。特に差が大きかった項目は、「イベントと聞くとウキウキする」で、女性が55.9%に対して男性は、36.0%、その差が20ポイント近くあった。男性の50代、60代以上は、31.0%、21.0%と、特に低かった。ノリが悪いと言われる世代を象徴しているようだ。一方、女性の20代中心では70.5%、30代では66.5%が「イベントと聞けばウキウキ」すると回答している。まさに若い女性向け商品のプロモーション戦略上、イベントの活用は必須アイテムとして検討の余地がある。心の奥底まで突き刺さるようなインパクトのあるイベントを展開することで、女性心理を掴む。そんなイベントがもっと活用されて良いと思う。

※注) 全体に比較して、○印は、10ポイント以上高く、▽印は、10ポイント以上低い
三、 イベントに対する接し方、距離感
① 好奇心にあふれた国民性の顔が覗く
当該調査では、「イベントに対する接し方・距離感」についても聞いている。その結果、26項目中、全体平均で最も「そう思う+ややそう思う」という回答が多かったのは、「思い出に残っているイベントがある」(78.5%)であった。男女、各年代層とも70%以上が「そう思う+ややそう思う」と答えておりばらつきは少ない。ほとんどの人が、何らかのイベントが「思い出」として心に残っているということは、イベントの持つ体験価値の高さを示している。第2位は、「珍しいものを見たり聴いたりするのが好き」(73.0%)、第4位は「好奇心の強い方だ」(66.0%)、第5位には、「人が集まっていると何をしているのかが気になる」(64.6%)といった項目が入っており、いずれも日本人の好奇心の強さを端的に示したものとして解釈できる。尚、第3位には、「伝統的な行事は大事に残していくべきだと思う」(72.7%)が挙がってきており、伝統回帰、和風を大切にしていこうという最近の風潮を反映している。
② 女性は男性よりも好奇心が強い
イベントに対する考え方では女性の前向きな姿勢がみられたが、「イベントに対する接し方・距離感」においても女性が男性を圧倒している。男性よりも「そう思う+ややそう思う」という回答が、9ポイント以上高かったのは、「人が集まっていると何をしているのか気になる」「音楽や絵画などの芸術作品に接するのが好き」「自然や草花などを楽しむのが好きな方だ」「お祭好きの方だ」「イベントに行くと財布の紐がゆるんでしまう」「イベントは周りの人が行くと行きたくなる方だ」「イベントに行ったらお土産を買うことが多い」「イベントには自分から誘っていくことが多い」と8項目に及んだ。
イベントを通して、男女の意識の違いが、これほど鮮明に表れるとは想像以上であった。21世紀初頭の日本の姿は、イベントを見る限りまさに女性がリードする時代と明言できそうである。
※注) 全体に比較して、○印は、10ポイント以上高く、▽印は、10ポイント以上低い
四、 6つに分かれるイベント参加者
次に、イベント参加者の「意識と行動」によって、クラスター化が可能か試みた。その結果、かなり明快に6つのクラスターに分けることができた。
① 6クラスターの特徴
基礎データは、日本イベント産業振興協会で実施したインターネットによる全国調査(2,000サンプル)の中から「参加者のイベントに対する接し方」26項目と「イベントに対する考え方」20項目を用い、その回答をもとにクラスター分析をした。はじめに因子分析にかけ、下記の6つの因子を抽出した。
第1因子:イベントの「社会的意義に好意的」
第2因子:イベントの「出会いや交流を楽しむ」
第3因子:イベントの種類として「趣味・伝統・文化を楽しむ」
第4因子:イベントの「知識・情報への関心が強い」
第5因子:イベントに対して「冷ややかな否定的態度」
第6因子:イベントが「消費を刺激」
以上の6つの因子に対する全国のイベント参加者2,000人個々の因子得点を分析に用い、以下の6クラスターに分けることができた。その特色と構成比は次のとおり。
● イベント大好きタイプ・・・・23.0%
イベントや祭りに対する興味や関心が高く、イベントや祭りの情報に詳しい。イベントの持つ社会的意義や役割に対しても大変好意的にみている。例えば、イベントは、現代社会を活性化する上でなくてはならない機能だと思い、地域振興や日本の国際的理解促進にも不可欠なものとみている。男女の比率が、ほぼ半々。イベントの全てのカテゴリーの参加経験率が高い。特に、フェステイバルは7割、文化イベントは、6割強の参加率。伝統的に続く祭り・行事系は9割、地域の祭りや舞台芸術鑑賞系は8割強、自然鑑賞系のイベントは8割弱の人が関心をもっている。その他、美術系、物産展系、スポーツ系、花火等屋外鑑賞系、パレード系、展示系等、軒並み6割以上の方が関心をもっている。
● 消費積極タイプ・・・18.4%
イベントに行くとお土産を買うことが多く、つい財布の紐がゆるんでしまう。イベントに行った時には、大抵思い出になるものを購入する。イベントの社会的役割にも関心があり、イベントをよく開催している企業や団体に活力や好意を感じている。イベントは、仲間うちでも社会的にも一種の刺激剤としての効果があると思っている。女性の比率が高い(7割)、
若い女性20代、30代が中心。平均年齢が一番低い(41.2歳)、専業主婦の比率が高い(3割弱)。フリーマーケット系、○○市系、物産展系への関心度が高い。
● 理屈抜き参加タイプ・・・・・17.6%
イベントに対する意識や態度に、突出した傾向がない。お祭好きだが、イベントの機能や役割には興味薄。理屈っぽいことを考えたり、イベント情報をわざわざとりにいくことには無関心。イベントに出会いや交流を求め、みんなでワイワイ、ガヤガヤ楽しめれば、満足。女性の比率がやや高い(5割弱)。長野県での比率がやや高い。祖父母の代もしくはそれ以上前から住み始めた人の比率が高い。イベントに対する興味や関心が、ほぼ平均的。
● 耳どしまタイプ・・・・・・・17.4%
イベント情報へのアクセスには、積極的。イベント情報誌の購読やホームページでのチェックにより、イベント情報には詳しい方。男性の比率が高い(7割)、20代、30代の会社員が4割。東海ブロックでの比率が高い。スポーツイベントと博覧会の参加経験率が高い。スポーツ系以外は、すべてのイベント領域で平均より1割以上、興味や関心が低い。特に祭り系や鑑賞系は、平均より2割以上、関心のある人の比率が低い。
● イベント冷ややかタイプ・・・12.4%
イベントは、単に催し物を言い換えたに過ぎないとか、結局はお祭り好きの人がやるものに過ぎない、時間に余裕のある人が参加するものだ、といった冷めた目でしかイベントを捉えていない。イベントは何となくうさんくさいイメージがつきまとっていると思う、といった見方が抜けない。イベントに行って、お土産や思い出に物を買うことなどは、まず無いタイプ。男性の比率が高い(6割)。北陸・甲信越ブロックでの比率がやや高い。石川県での比率がやや高い。自分の代から住み始めた人の比率が高い。イベントの全てのカテゴリーの参加経験率が低い。イベントに対する興味や関心が、すべての領域で平均より低い。特に祭り系や自然鑑賞系、花火等屋外鑑賞系への関心が薄い。
● 静かに鑑賞タイプ・・・・・・11.3%
イベントで、出会いや交流を求めず、むしろ趣味的世界に没頭したい。音楽や絵画などの芸術作品に接したり、自然や草花を楽しむのが好き。伝統的な文化や芸能に触れるのが楽しみで、昔からの伝統的な行事は大切に残していくべきだと思っている。男性の比率がやや高い(5割強)。平均年齢が一番高い(48.1歳 )、中高年の男性50代、60代中心。近畿ブロックでの比率が高い。特に京都府での比率が高く、逆に大阪府は低い。文化イベントの参加経験率が高い。自然鑑賞系や美術などの芸術鑑賞系のイベントへの興味や関心が高い。
以上、6つのクラスターの中で、どのクラスターが次世代のイベントの担い手になりそうだろうか。
② メディア接触率、突出層が存在
そこで、イベント参加者、6クラスターのイベント参加のきっかけとなったものは、何だったか確認してみることにする。6つのクラスターのイベント認知経路をクロス分析したところ、際立った結果が表れた。図表6を見て欲しい。マスメディア、インターネット、コミニィティメディア等、ほぼ全てのメディアに対して「イベント大好きタイプ」は、他の5つのクラスターをかなり上回る認知率を示している。マスメディアの場合、平均との差を見ていくとテレビが8.0%、新聞が7.0%、雑誌が7.3%、ラジオが5.1%上回っている。またインターネットは、平均を5.8%、エリア情報紙は、6.1%上回っている。この結果から「イベント大好きタイプ」は、メディアへの接触が旺盛であり、メディア戦略上のキーパーソンであると結論づけることができる。大規模なメディアの地殻変動の中で、イベント戦略を立案する際、「イベント大好きタイプ」に照準を合わせることで、既存のマスメディアとインターネットを効率よく活用する道が、見えてきたように思えるが、いかがであろう。

五、インターネットの普及で原点回帰
さてここまで調査結果等をもとにイベントが現在おかれている状況をみてきたが、最後にメディアの地殻変動の中でイベントが向かう先は、どこなのかを推論していきたい。
思いつくままに整理していくと、「イベントはインターネットとの相性がよい。他のメディアとのコラボレーションが可能。インターネットと結びつけば、低コストが武器となり、地域からの受発信で、今までに無い早さで全国区、世界区に成り得る可能性がある。イベントは、地域振興策としての期待が大きい。その結果、イベントがインターネットと結びつくことで、地域経済活性化のエンジン役に成り得る可能性が高い。イベントの推進役や支援者として、女性は、大いに期待できる。全国には、4人に1人、イベントの社会的意義を理解し、積極的に参加している人達がいる」等々。このような視点をもとに、更に考察を深めたい。
① メディアとしてのイベントの再生
イベントは、広告同様、時代の鏡でもある。各時代に人々が求めるものを、アクションとして表現する。「表現の内容」と「伝達方法」次第で集客力に差が出る。これまで、イベントは、会場での表現内容に多くのエネルギーを割いてきた。一方「伝達方法」、つまりメディアとしての機能や価値については、限界、壁が立ちはだかり思うにまかせられなかった。メッセージを伝える手段としては、「あきらめ」もあった。そのメディア性を補完する武器として、イベントは、21世紀の初頭、インターネットの機能を手に入れ、息をふきかえしはじめた。そのことにいち早く気がつき、活用する担い手が、今後、イベントのプロデューサーとして力を発揮する時代となろう。今は、若い人たちばかりでなく、ビジネスマン、主婦もまた生活パターンとして、毎日メールをチェックする時代である。ネット上の日記風の簡易ホームページである「ブログ」の爆発的な伸びや、検索キーワードとしてトップの2チャンネルをあげるまでもなく、人は噂話が好きであり、いつでもどこかで自己表現をしたいという思いがある。イベントの担い手となる人は、「能動的」にインターネットを活用し、ネット上を飛び交う情報の「自己増殖性」の凄さを経験している人がリードしていくに違いない。
② イベント会場からの中継が個人の手に
イベントは、ライブが命である。感動的なイベントは、人に伝えたくなる。その場の空気をリアルタイムで伝える手段を、個人が手に入れた。カメラ付携帯を活用しつつ、即座に実況中継することも可能になった。場の空気を伝える情報発信源が無数に存在する時代となったと言ってもいい。人気タレントが飛び入りでイベント会場に姿を現す、といった噂が流れたとする。それをキャッチした人が2~3人に伝えただけでも、伝言ゲームのごとく、各人が次から次へと仲間に呼びかけていくことも可能だ。その時予測もしなかった事態が起きることもある。イベント会場に予想の数倍の観客が押し寄せ、大混乱に陥ることもある。警備体制が後手に回り、思わぬ事故が起こる危険性も大きい。情報が幾何級数的に「増殖」していき、不特定多数の人が続々と集まってくる姿は、イベントの集客に苦労してきた人達にとって、想像もできなかった事態である。現代は、そのようなことが起きるメディア環境にイベントが、置かれているという認識が必要になってきた。
③ ネット・コミュニィティが地域活性化の起爆剤
今、同じ興味や関心事を持っている人達が、趣味であろうと、仕事であろうと全国から、あるいは全世界からインターネット上に集い、一種の村、コミュニィティを形成しつつある。無数のネット・コミュニィティは、バーチャルの世界にとどまらず、リアルな世界に向かう傾向にあるという。現実の出会いを求め始めるのである。ネットで知り合った同好の志が自ら能動的に「村祭り」を企画・実行しはじめている。「イベントは、仲間内でも刺激剤として効果があると思う」と回答している人が、73.3%もいる。ネット・コミュニィティのイベントを毎年同一地域で行うことで、その地域を一つのメッカとすることができる。全世界から、同好の志を求めて多くの人がやってくれば、結果として地域振興に貢献するイベントとして注目を浴びることになる。ネット・コミュニィティを現実の場に引き込むキッカケは、イベントの魅力次第でもある。イベント化しやすいネット・コミュニィティをどう探し当てるか、これもまた地域振興に携わる方々の知恵比べでもある。
以上、本稿は、メディア環境の激変の中で、イベントがどのような可能性を持っているかを述べてきたが、イベントの世界は、広告におけるマーケティングの知見から比べると、数十年は、遅れている。本稿が、イベントのマーケティング的視点の導入に一石を投ずることが出来れば幸いである。